設計ってワクワクして、楽しそう!
どうやって設計を進めていったんですか?
実は、設計的なノウハウを踏まえた上で取り組んでいましたが、妻に「どんな家になるかわからない」と言われてしまいました。
これは建築がわからない一般の人の本音でしょう。
今回は、そんな時に「どのように伝えるか」工夫した点について解説します。
間取りでは想像できない
リノベーションの設計において、とにかく調査が大切。
プロに同行してもらい、しっかりと調査した上で、設計しなければいけません。
そこでプロと一緒に住まいの魅了探しをしましょう。
その魅力を活かすことで、素敵な住まいになります。
また、無理な間取り変更は危険です。
特に、柱、梁、筋交いを簡単に解体してはいけません。
構造的に弱くなる、またはそれを補う補強でコストアップになり、リノベーションの失敗に繋がってしまいます。
詳しくはこちらの記事でご確認を。
これらを踏まえてしっかり設計していたつもりの私ですが、ある日、妻にこんなことを言われました。
「う〜ん…こんな間取り図とか、図面じゃ結局どんな家になるかわからない」
設計期間中、妻に言われた一言です。
建築素人である妻の一言が、世の中のお客さんの本音でしょう。
建築の仕事に携わっている人は、空間認識能力や想像力が高く、図面で話が通じます。
一方、そのようなトレーニングをしていない方にとっては、図面はただの線の集合。
長く専門分野に携わっていると、「わからないことがわからなくなる」といった現象に遭遇します。
私は、自邸のリノベーションで妻にプレゼンするにあたり、わからないことがわかっていなかったのです。
そこで建築士、設計士としての仕事は何だろうか振り返る必要があります。
住宅の設計士の仕事とは
住宅の設計士の仕事は、3つの過程があります。
- お客さんにイメージさせる資料を提案する
- 建築基準法に基づいて、確認申請の審査をクリアする
- 現場が滞りなく進むよう、現場指示用の図面をつくる
本職の方にとっては、もっとあると言いたい所だと思いますが、ざっくりお客さんから見えるのはこんな感じです。
特に力を注がなければいけないのが、1のイメージさせること。
ここで上手く伝わらなければそもそも受注できないし、何度提案しても前に進まず苦戦します。
徹底的に要望を洗い出し、その要望を形に落とし込み、わかりやすい資料で提案するのが、仕事ができる設計士の真骨頂。
わかりやすい提案資料としては、
- スケッチ
- 3Dパース
- 模型
- 類似イメージの写真
このようなものがあります。
私が、妻への提案に選んだのは模型です。
模型の程よい抽象度が良い
模型を選んだのは、消去法でした。
- スケッチ:建築士なのにとても苦手(中学の美術が10段階中5程度のレベル)
- 3Dパース:会社のソフトで表現しきれなかった
- 模型:昔から模型作りが得意かつ好きだった
- 類似イメージの写真:あまり的確なものが見当たらなかった
このような理由で、模型で提案することに。
模型の良い所は、表現の強弱がつけられることです。
この模型の場合は、木の部分と既存の緑色の壁を強調し、色を付けています。
それ以外は白くすることで、情報を抽象化しています。
ただし、空間にスケール感を出すため、合成で人を入れました。
さて、この模型からどんな空間になったのか見比べてみましょう。
木や緑色の塗り壁を残し、他の部分は白い壁にするという意図が伝わらないでしょうか。
最近は3Dパースの精度が高く、動画も簡単につくることができます。
しかし、情報が具体的過ぎる点が気がかり。
あえて模型程度に抽象的な表現をし、コンセプトで大切にしている部分を強調して表現した方が伝わることがあると考えています。
リノベーションであれば、模型や図面を見ながら現場で、「あれを残して、ここはリビングで…」と会話をしながらイメージしていくのが楽しいはず。
小さくても形になるとテンションが上がる
3Dは、具体性や動画にできるという特徴があります。
その3Dになくて、模型にあるのが、小さくても住まいができたという高揚感です。
目の前に立体物として提案されるので、不思議とテンションが上がります。
家づくりがグッと楽しくなる瞬間が、模型を提案された時です。
小さくても形になる喜び、それこそが模型の魅力。
設計士の方は、3Dが一般的になった今の時代に、あえて模型を提案してもいいかもしれません。
今回の記事からの学び
- 一般の方は、図面や間取りではイメージできない
- 専門分野に長く携われば携わる程、わからないことがわからなくなる
- 設計士の仕事で最も大切なのが、お客さんにイメージさせること
- 3Dは、具体性と簡単に動画にできることがメリット
- 模型は、表現の強弱が付けられ、コンセプトを強く伝えられる
- 模型を提案されたら、とにかくテンションが上がる
この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
TwitterやInstagramのフォローもよろしくお願いします。