一戸建てリノベーションの間取り設計手法

一級建築士が解説!リノベーション住宅の間取り設計手法設計

リノベーションでも注文住宅みたいに好き勝手間取りづくりできるんですか?

できなくもないですが、最善の選択ではありません。
リノベーション設計ならではのポイントがあるので解説します。

この記事から学べること
  • リノベーション設計のために調査が大切
  • 現地調査はプロに同行してもらう
  • 現地でプロと話し合い、暮らしのイメージを共有すると設計がスムーズ
  • 調査は間取りを取るだけではなく、写真も撮っておく
  • 既存の間取りを分析し、魅力を発見する
  • 理想の間取りよりも、可能な間取りにする

設計するために調査が最重要

費用的に無駄なく、スムーズに進めるために、不動産の売買契約を終え、引渡しまでの期間に設計をします。
売買契約の流れがわからない方は、こちらの記事を確認して下さい。

設計するために、調査が大切です。
このブログでも再三書いていますが、リノベーションの成功のコツはしっかりした調査に限ります。
まず、不動産内見の段階で、これぐらい道具を準備して行くといいでしょう。

建築士に同行してもらうと、その場で間取りを取ってくれます。
現地調査にあわせて建築士と一緒に、リノベーション後の間取りのイメージを話し合うと効果的です。
設計で悩んだ時、その答えは机上では生まれません。
必ず現地に答えがあるので、現地での話し合いの時間は貴重です。

我が家の場合は、私自身が建築士なので、自分で調査しました。
内見で調査し、描いた間取りがこんな感じ。

間取りを描くための方眼紙

日本の木造住宅は「尺貫法(しゃっかんほう)」という、畳の大きさを基準にした寸法体系で作られています。
そのため間取りは、方眼紙に描いていくのがおすすめです。
また、間取りを描くこととあわせて、各部屋の写真を撮っておきましょう。
写真は、事実という記録として、必ずどこかで役に立ちます。

住宅の間取りの理由を分析

既存(工事前の状態)の間取りが手に入れば、なぜこのような間取りになっているか考えてみましょう。
過去の住人や大工さんは、何も考えずに間取りを住まいを作ったわけではありません。
必ず何か狙いや理由があります。
その狙い、理由をリノベーションする際も活かすことが、成功のポイントです。
我が家を事例に考えてみます。

耐震性能上不利なL字型の間取り

右下に方位を書きましたが、左側が南、下が東側です。
全体はL字型で、庭を囲むように縁側があり、その奥に和室が配置。
給排水の効率を考えたのか、トイレ、キッチン、浴室が北側にまとまっています。
住まいの中心に和室が並び、襖を開放することで大きな和室や、縁側も含めた広間としてフレキシブルに利用できそうです。
田の字型間取りと言われる農家住宅の変形型のような、理に適った間取りといった魅力があります。

理想の間取りより、可能な間取りを優先

リノベーションの設計では、理想の間取りよりも、可能な間取りにすることがポイント。
なぜなら、理想の間取りを目指して柱を抜いたり、耐力壁を壊したりすることで、建物の構造的なバランスが崩れるからです。
柱を抜く、耐力壁を壊すことは、適切な補強をすることで可能ですが、その分コストアップにつながります。
どうしても間取りにこだわりたいという方は、そもそもリノベーションに向いていないかもしれません。
リノベーションの間取り変更は、「郷に入れば郷に従え」ということわざのように、元々の間取りのルールに従うことで上手くいきます。
より魅力的なリノベーション住宅にするために、元の住まいの魅力を見つけて活かすことが良いでしょう。

今回の記事からの学び

  • リノベーション設計のために調査が大切
  • 現地調査はプロに同行してもらう
  • 現地でプロと話し合い、暮らしのイメージを共有すると設計がスムーズ
  • 調査は間取りを取るだけではなく、写真も撮っておく
  • 既存の間取りを分析し、魅力を発見する
  • 理想の間取りよりも、可能な間取りにする

この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
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