古民家リノベーションのDIYアイデア、床の間をテーブルに再利用

古民家リノベーションのDIYアイデア、床の間をテーブルに再利用DIY

古民家らしさを活かすリノベーションコンセプト

この記事から学べること
  • 新築、リノベーション問わずコンセプトが大切
  • 特徴を分析し、共通点を見つけることが、材料の再利用のアイデアになる
  • 床の間の床板は、堅い材料が多いので、ダイニングテーブルの天板に再利用できる
  • DIYは必ずしも全部自分でやらなくてよい
  • プロの手を借りながらDIYしても、十分に愛着の持てるものができる
  • どんな高価な材料も捨てたらゴミになるので、アイデア一つで再利用していこう

新築、リノベーション問わず、家づくりにはコンセプトがあると良い。
コンセプトとは、特定の物事に対する統一的かつ基本的な考え方や視点を意味する。
厳密なことを言えば若干意味が違うけど、家づくりのテーマと考えるとわかりやすいかもしれません。
コンセプトがあると良い理由は、3つあります。

  • 家族間で、目指す家づくりの方向性を統一できる
  • パートナーの住宅会社と、価値観を共有でき、最適な提案をしてもらえる
  • 迷った時、判断するための物差しになる

家づくりは、取捨選択の繰り返し。
その際、家族で共通見解を持ち、パートナーから最適な提案をしてもらえる状況が理想的です。
それでも最後には1つに選ばなければならないので、コンセプトを判断の物差しにすると、素敵な住まいになりやすい。
もし、コンセプトが無く、その場しのぎ的に物事を決めていたら、ちぐはぐな住まいになってしまうでしょう。

我が家は、築50年の古民家の良い所を積極的に残し、リノベーションらしい住まいにするというコンセプトを掲げていました。
具体的にどのように設計をしたかは、こちらの記事をご覧ください。

共通点を見つけて、読み替えるのが再利用のアイデアのもと

古民家リノベーションらしい住まいというコンセプトの中で、解体前に注目した材料があります。
それは床の間

リノベーション工事前の古民家の和室
左奥の一段上がった部分が床の間

床の間とは、座敷(和室)にある一段高くなったところで、生け花や掛け軸をかざってあるような場所です。
床の間は、畳が敷いてある場合もあれば、板になっている場合もあります。
我が家では板でした。
床の間の板には、ある特徴があります。

  • 座敷の象徴として、高価な材料を使う傾向がある
  • 床板(とこいた)は、堅い樹種を使う傾向がある
  • 畳1枚分ぐらいの大きな板

この3つの特徴から、再利用について考えてみました。
畳1枚分ぐらいの大きな板で、堅い樹種を使っていることは、家の中のあるものと共通している。
それは、ダイニングテーブルです。
ダイニングテーブルは、4人掛けで幅1500mm、奥行き750mmぐらいの大きさ。
解体で傷む余裕を考えると、畳1枚分の床板はちょうどいい大きさです。
また、陶器の食器を置くため、表面が柔らかいとすぐに傷がつきます。
堅い樹種であれば傷つく心配も少なく、まさに床板はダイニングテーブルの天板に最適な材料
このように、特徴を把握し、読み替えることで、上手く再利用のアイデアが思い浮かびます。

DIYはできることだけやってもいい

床の間の床板を、テーブルの天板にすることを決めましたが、全て自分でやったわけではありません。
適宜プロの手を借りながら、できることだけDIYで行いました。
それでも床の間を再利用したダイニングテーブルは、愛着たっぷりです。

まずは、解体。
解体の職人さんは、壊すことが得意でも、きれいに残すことは少し苦手
解体職人さんによっては、お断りされることもあります。
我が家に入った解体職人さんには、見事にお断りされ、解体工事後に現場入りする大工さんに、きれいに床板を取ってもらいました。

床の間の床板をリノベーションで再利用

次に、取り除いてもらった床板と、下地となる合板を木工用ボンドで接着します。
この作業は、DIYで行いました。
図工の作業が、少し大型化しただけの簡単な作業なので、どなたにもできます。
ポイントは、接着後に重しを載せて、十分に乾燥させること。
表面が傷つかないよう、またなるべく現場にあるもので対応しました。

床の間の床板を合板に接着し養生している

そして、脚は鉄骨加工業者に依頼。
L型のアイアンを溶接したシンプルなもの。
業者には、無塗装で仕上げてもらい、さび止めはDIYで行いました。
業者にやってもらうと少しコストが割高になるので、さび止めスプレーをかける程度の簡単な作業は、自分で行うとコストダウンできます。

L型アングルを溶接したシンプルなアイアンのテーブルの脚

脚が完成したら、あとはボンドで接着した天板を、脚にあうサイズにカットするだけ。
サイズも大きく、精度も必要なので、現場で作業中の大工さんにお願いしてカットしてもらいました。
電動のこぎりで、10分とかからずにぴったりにカット。
さすが腕前が間違いない大工さん。

床の間と合板を接着したテーブル天板を大工さんにカットしてもらう

最後に、天板とアイアンの隙間に、コーキングを流し込みます。
味噌汁やお茶をこぼしてしまうと、端部から天板に染み込み、劣化の原因になるので、コーキング作業が必要です。
コーキング作業は、DIYで行いました。
ホームセンターで売っていて、養生さえしっかりすれば、それなりの仕上がりになります。
ちなみに、コーキング作業は、断熱性能を高める気密処理にも役に立ちました。

こうして、プロの手を借りながら、自分でできることはDIYで行ってできた机がこちら。

床の間の床板を天板に再利用したダイニングテーブル

元々この住まいにあった床板を活かし、古民家リノベーションらしく既存の良い所を残すコンセプトにぴったりのダイニングテーブル
当初、他に購入する家具とあうか心配していましたが、遊びに来た友人がどこで買ったか聞くほど、自然と馴染んでくれました。

また、ダイニングテーブルを使い始めてから、新しい気付きがありました。
元々傷ついていたものだったので、なんの躊躇もなく利用できることです。
どうしても新しいものは、傷つけたくない、汚したくないという気持ちになります。
しかし、どれが古い傷で、どれが新しい傷は見分けがつかないので、全く気になりません。
むしろ、傷も経年変化の味のように感じています。

よく見ると傷だらけで味わい深い、床の間を再利用したダイニングテーブル

人によっては、「床の間をテーブルになんて罰当たりだ」と言う方もいました。
しかし、捨てればただのゴミ
捨てる方が罰当たりな気がします。
リノベーションの場合、解体前に家をしっかりと眺めてみましょう。
そうすると、意外な閃きがあり、我が家だけのオリジナルデザインを手に入れられるかもしれません。

もし、解体前にいい材料がない場合は、古材を使ったテーブルを販売しているところもあります。
そちらで住まいの雰囲気に合うものを探し、住まいの雰囲気に合う家具を選ぶのもいいでしょう。

今回の記事からの学び

  • 新築、リノベーション問わずコンセプトが大切
  • 特徴を分析し、共通点を見つけることが、材料の再利用のアイデアになる
  • 床の間の床板は、堅い材料が多いので、ダイニングテーブルの天板に再利用できる
  • DIYは必ずしも全部自分でやらなくてよい
  • プロの手を借りながらDIYしても、十分に愛着の持てるものができる
  • どんな高価な材料も捨てたらゴミになるので、アイデア一つで再利用していこう

この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
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