リノベーションってすごくおしゃれなイメージ!
でも、リノベーションらしいデザインにするには、どうしたらいいんだろう?
面影がないほど、劇的に変化させるリノベーションもあれば、しっかりと面影を残したリノベーションもあります。
オススメは、我が家でも採用した面影を残すデザインです。
今回は、そんなデザインのコツについて解説します。
古民家の魅力とは
古民家の魅力って何か。
そう聞かれた時、私は「経年美化」と答えます。
長い年月を経て、傷むのではなく、美しくなるものです。
この写真をご覧ください。
畳は傷んで見えるかもしれません。
しかし、その他の部分はどうでしょうか。
緑色のじゅらく壁の発色はきれいだし、木はアメ色になり落ち着いた雰囲気があります。
新築で見る木の色とは違い、ここまで変化するのに長い年月が必要だと考えると、ここに価値を感じませんか。
海外であればヴィンテージと評価されるでしょう。
私がこの住まいに惚れて、購入に至った理由の一つは、この経年美化を感じられたからです。
細部に宿るおしゃれなポイント
最近の住まいで見かけなくなった細かい造作も、古民家ならではの魅力。
例えば、障子(しょうじ)です。
新築でもたまに見かけますが、雪見障子や組子と呼ばれる装飾的な障子は滅多に見かけません。
我が家では、着工前にきれいに外して、写真のように保管しておき、再利用しました。
障子以外に、和室らしい設えの一つである欄間(らんま)も、近年の住宅では見かけなくなりました。
欄間は、襖(ふすま)の上、天井の下にある木の造作物です。
古くは、部屋の採光や通風、換気を確保するために設けられた歴史があります。
また、欄間は彫刻による繊細なデザインが多く、和室を彩る装飾として用いられることも。
有名なものだと、100万円以上するものもあり、その住まいのステイタスシンボルにもなっていました。
我が家には、写真中央にある雲のようなデザインのものがあり、こちらも再利用。
近寄って見てみるとこんな模様をしています。
彫刻でとても繊細で、木の模様まで考慮して彫られている。
残し方の設計がリノベーションらしさ
新築の住宅だと、壁に凹凸がなく、スッキリと設計するのがスタンダートです。
よく「目に見える線を減らすのが設計の鉄則」と、建築士の諸先輩に教えてもらいました。
一方で、古民家には、上記で紹介したような線の多い繊細なデザインが多い。
これら古民家らしいものを、いかにきれいに残すかがリノベーション設計のポイントになります。
言うなれば、「残し方の設計」です。
新築のように、スッキリと見える線の少ない設計は難しいでしょう。
しかし、それら繊細なものを邪魔しないよう、同じ素材や色で馴染ませたり、時に額に絵を飾るよう扱う等、古いものを尊重するように設計します。
アメ色に経年美化した木、繊細な障子や欄間の残し方に配慮し設計した住まいの、Before-Afterがこちらです。
新しく入れたフローリングや造作の扉は、アメ色に変化した古い木とは無理に合わせません。
あえて反対の明るい色味にすることで、経年美化の濃い色味が映えるようにと考えました。
障子は紙を張り替えただけ、欄間は掃除程度でそのまま同じ位置で再利用。
障子や欄間に触れる壁や木もそのまま残したので、違和感なく自然に残っています。
・あえて違う色味で、ギャップを作る。
・残す部分は、周辺も含めて大きめに残すことで、自然に見せる。
・残す部分は、塗装できれいにせず、経年美化の様子を楽しむ。
これら3つの残し方の設計で、古民家ならではの空間イメージを維持したリノベーションに成功しました。
残すことが難しい部分
残し方の設計において、残すことが難しい部分があります。
それは、外壁に面する部分です。
外壁に面する部分は、耐震補強や断熱補強に関わってくるため、壊さなければ上手く工事ができません。
いくらきれいな古民家でも、性能が伴っていなければ快適に暮らせません。
見た目のデザインだけで、購入を訴求するリノベーション会社、不動産会社はいます。
見た目がよくても、夏暑くて冬寒い住まいでは、快適な暮らしができません。
そのため、リノベーションする際も、デザインばかり追わず、性能面も気にしましょう。
我が家は、断熱性能を高めて、33畳の空間を14畳用のエアコン1台で冷暖房しています。
オール電化で、年間の電気代は約11.6万円。
そんなエコで、省エネなお得な暮らしの秘訣はこちら。
今回の記事からの学び
- 古民家の魅力は、経年美化
- 障子、欄間といった繊細な造作を再利用すると、古民家らしいおしゃれな雰囲気になる
- 新築の設計のポイントは、目に見える線を減らしスッキリ見せること
- リノベーション設計のポイントは、古いものの残し方
- 残し方1:あえて違う色味でギャップを作る
- 残し方2:周辺も含めて大きめに残す
- 残し方3:古い部分は塗装せず、経年美化を楽しむ
- 性能向上の観点から、外壁側は残すことが難しい
この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
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