図解!住宅ローン返済で後悔しない予算計画

図でわかる月々の住宅ローンで後悔しないマイホームの予算の目安予算計画

前回の記事読みましたが、難しい言葉が多くてわかりませーん!
家づくりって難しいんですね…

すみません、どうしても概念的な部分は専門用語が多くなってしまいます。
今回の記事とセットで読むと、図があって理解しやすいと思います。

この記事から学べること
  • 総予算からの引き算で考える。
    ①総予算 ー ②建物工事費 ー ③その他の経費 = ④土地購入費
  • 住宅ローンは、収入に対する返済金額の割合を表す「返済比率」で考える。
  • 借りられる金額(返済限度額)と返せる金額は違う。
  • 返済限度額は、収入の30%(400万円以上は35%)
  • 返せる目安金額は、収入の25%以下
  • 有事のためにある程度の自己資金(貯金)は残しておく。
  • 親からの援助は贈与税の対象になるので、金額に注意する。
  • 自治体等からの補助金は、家づくりの資金のあてにしない。
  • 課題を明確にしてからプロへ相談がベスト。

マイホームの予算を決める手順

前回の記事では、各項目の内容や予算の目安について解説しました。
それを踏まえた上で、以下の①から④の手順で予算を決めていきます。

マイホームの予算計画のイメージ

①総予算 ー ②建物工事費 ー ③その他の経費 = ④土地購入費

この公式は、これから家づくりを始める方にとって非常に大切です。
家づくりの手順としては、④土地を決めて、その次に②建物、③家具家電となります。

しかし予算に関しては、土地を最後に考えるべきなのです。
その理由としては、次のような2つが挙げられます。

1つ目は、総予算から引き算で決めることで、予算の大幅オーバーを防げるから
2つ目は、土地の予算が最も想定しにくいから

土地は立地や大きさで価格が大きく異なります。
また、市場にあるものから選ぶ形になるため、購入する側での価格調整ができません。
一方、建物の場合は、大きさと坪単価で本体工事費を算出しやすいです。
本体工事費がわかれば、付帯工事費やその他の経費まで算出できるので、スムーズに予算が立てられます。

それでは総予算を決める方法を学んでみましょう!

住宅ローンで借りられる金額の目安(返済限度額)

多くの人が、住宅ローンを借りて家づくりをします。
住宅ローンのシミュレーションは、インターネットで簡単にできる時代です。
しかしいくらまで借りることができるのか、その仕組みを知らないと上手く使えません。
そこで指標になるのが、収入に対する返済金額の割合を表す「返済比率」です。
住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円未満で返済比率30%、400万円以上で35%が借入限度額の基準とされています。
しかしこれはあくまで「限度額」です。
返済しながら無理のない生活を続けられる金額ではありません。

年収400万円未満400万円以上
返済比率30%35%

無理なく月々返すことができる金額の目安

限度額いっぱいで住宅ローンを組むと、おそらく家計が破綻してしまいます。
そこで返すことができる金額で押さえておかなければなりません。
一般的には、収入の25%以下と言われています。
もちろん各家庭によって家計の状況は異なるので、あくまで目安程度にお考え下さい。

また、他に借り入れがある場合や、過去に返済遅延といったペナルティになる行為があれば、返済希望金額から減額される場合があります。
その場合、金融機関の信用情報に「異動」と書かれています。
最悪の場合は、住宅ローンを組むことができません。
予算をある程度イメージし具体的に動く際は、必ず融資機関(銀行等)にご相談しましょう。

※異動:金融業界用語で、信用情報にマイナス要素があることを表す専門用語。マイナス要素は、支払いの延滞、遅延、債務整理を行っった(自己破産)、本人が返済できず保証会社が返済した(代位弁済)、強制解約等がある。

親からの贈与や補助金の扱いについて

総予算に含まれるものとして住宅ローン以外にも、自己資金(貯金)、親からの贈与、自治体からの補助金がある。
総予算を増やす強い味方ですが、これら家庭の事情や金額によって扱いは異なり注意が必要です。

車の故障、病気、子供の私立進学といった急な出費に対しては、ある程度の現金が必要になってきます。
そのため、自己資金を全て家づくりの予算にあてることは危険!

また、親からの贈与は、一定金額を越えると贈与税の課税対象です。
一般的な贈与は、110万円の基礎控除があります。
つまり、110万円を超えた金額から贈与税の対象です。
しかし、住宅においては特別控除があります。
契約の締結日によって特別控除額は異なり、金額は以下の表の通り。

契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,500万円1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日1,200万円700万円

家づくりでは、定住促進をはじめ、自治体から補助金が貰えます。
全ての自治体が実施しているわけではないので、詳しくは居住希望の都道府県、市町村のHPを確認して下さい。
この補助金ですが、多くのものが完成後に振り込まれます。
完成後なので、家づくりに必要な支払いが終わった後の入金になるということです。
つまり、補助金を工事費にあてたり、家具家電の購入費用にあてたりする場合は、一旦自己資金の準備が必要になります。
補助金はボーナスぐらいの気持ちで、予算のあてにしないのが理想的な予算立てです。

予算をシミュレーションしてみよう

①の総予算の決め方がわかったので、実際にシミュレーションしてみましょう。

マイホームの予算計画のイメージ

ローンシミュレーションから、わかりやすく表を作成しました。
月々の返済金額と、借入総額を表に記載しました。
(返済期間35年、ボーナス払い無し、金利1.8%、フラット35、元利均等方式で試算)

返済比率:30%返済比率:25%返済比率:20%
年収400万円10.0万/3114万円8.3万/1962万円12.5万/3114万円
年収500万円12.5万/3892万円10.4万/3238万円8.3万/1962万円
年収600万円15.0万/4671万円12.5万/3892万円10.0万/3114万円
年収700万円17.5万/5450万円14.6万/4546万円11.7万/3643万円
年収800万円20.0万/6228万円16.7万/5201万円13.3万/4142万円

表中の借入総額に自己資金や親からの贈与が加えられたものが、家づくりの総予算になります。
今回はわかりやすく借入総額のみで考えてみましょう。

夫婦と子供2人、世帯年収600万円、返済比率25%の場合
①総予算 = 3892万円(表より)
②30坪のコンパクトハウスを地元の標準的な住宅会社で工事(坪単価60万円)
 本体工事費 = 30坪 × 60万円 = 1800万円
 付帯工事費 = 1800万円 / 3 = 600万円
 建物工事費 = 1800万円 + 600万円 = 2400万円
③建物消費税、諸経費、家具家電費用
 建物工事費の10%ずつ
 240万円 × 3 = 720万円
④土地購入費 = ①総予算 ー ②建物工事費 ー ③その他の経費
 ①3892万円 ー ②2400万円 ー ③720万円 = ④772万円
 この予算での土地探しは、県庁所在地近郊自治体よりも郊外の土地が現実的となります。

こうして見てみると、土地にかけられる予算は意外と少ないことが把握できるのではないでしょうか。
この数字を意識して初めて、様々なアイディアが考えられます。

例えば、親から援助(贈与)してもらう話はよく耳にしますね。
今使っている家具家電の一部を、引き続き使う方法もあります。
また、総予算を把握することで、同様の仕様でこれ以上広くすることは難しいこともわかります。
依頼する会社の価格帯を変える案もあるでしょう。

予算って意外と厳しいんですね。家づくり諦めちゃいそうです。

大丈夫です!予算という現実を知ることは大切ですが、家づくりを諦める必要はありません。限られた予算で、希望を一つでも多く叶えるのが住宅会社や設計事務所のお仕事です。

大切なのは、現状把握です。
闇雲に住宅会社を回っても、たくさんの自社紹介を受けるだけで振り回されてしまいます。
現状把握で予算面等の課題をなるべく明確にしてから、住宅会社というプロにご相談するのがおすすめです。
対応する側も腹の中を探るよりは、相談当初から課題が明確な方が対応しやすいのが本音です。

今回の記事からの学び

  • 総予算からの引き算で考える。
    ①総予算 ー ②建物工事費 ー ③その他の経費 = ④土地購入費
  • 住宅ローンは、収入に対する返済金額の割合を表す「返済比率」で考える。
  • 借りられる金額(返済限度額)と返せる金額は違う。
  • 返済限度額は、収入の30%(400万円以上は35%)
  • 返せる目安金額は、収入の25%以下
  • 有事のためにある程度の自己資金(貯金)は残しておく。
  • 親からの援助は贈与税の対象になるので、金額に注意する。
  • 自治体等からの補助金は、家づくりの資金のあてにしない。
  • 課題を明確にしてからプロへ相談がベスト。

この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
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