断熱性能向上リフォームの費用対効果を検証

断熱性能向上リフォームの費用対効果を検証断熱・気密
この記事から学べること
  • 高気密高断熱の中に、性能の違いがある
  • 断熱性能が高ければ、快適性が変わる
  • 断熱性能を高めれば、工事費(初期投資)は上がるが、光熱費(ランニングコスト)は下がる
  • 光熱費シミュレーションで、投資金額が何年で回収可能かわかる
  • 住宅ローンを返済する期間で考えると、高性能住宅はコスパが高い
  • 工事費(初期投資)だけで判断せず、暮らす期間でのコストで検討すると良い

断熱性能の基準を知ろう

高気密高断熱住宅と一括りに聞くことがあります。
しかし、その中でも大きな性能の違いがあることを、一般のユーザーは認識できていません。
断熱性能によって、冬場の最低体感温度が変わり、快適性が変わります。
それぞれの違いは、一覧表を見るとわかりやすいでしょう。

基準次世代省エネ基準
(性能等級4)
Heat20 G1Heat20 G2Heat20 G3
冬の最低の
体感温度
8度10度13度15度
Q値 / UA値2.70 / 0.871.90 / 0.561.60 / 0.461.07 / 0.26
エアコンの効果頭と足元に温度差
窓も結露
個別空調が効率的
全館空調は非効率
エアコン1台で
全館空調が可能
最小機器で家中
空調が効く
対応できる企業どこでも可
ローコストレベル
どこでも可
一般的なレベル
地域トップの
性能特化企業
全国トップの
性能特化企業

細かい性能の違いは、こちらのブログを参照ください。

断熱性能のレベルが違うことで、快適性以外に変わることがあります。
それは、日々の光熱費です。
断熱性能が高いと、光熱費はどうなるのでしょうか。

性能が高いとどうなるのか

断熱性能が高ければ高いほど、工事費は高くなります。
良いものを使うから当然です。
断熱補強を伴うリノベーションであれば、1000万円以上の予算を準備して、様々な部分を直したいところ。

しかし、断熱性能が高ければ、月々の光熱費が安くなります。
少ないエネルギーで、冷暖房機器が運転できるからです。

工事費という初期投資が高くなるが、光熱費が安くなる。
つまり、バランス次第では、長く住めば初期投資が回収可能になります。
そこで有効なツールが、光熱費シミュレーションです。

光熱費シミュレーションをしてみよう

私は、建物燃費ナビというソフトを利用しました。
一部資料の抜粋ですが、このように光熱費のシミュレーションが可能です。
グラフ化されているので、とても見やすいのが特徴。

光熱費シミュレーション

こちらを利用し、性能の基準別に光熱費を計算しました。
この場合、光熱費というよりも、建物の燃費と考えるとわかりやすいでしょう。

自動車選びにおいて、ガソリン1Lで何キロ走るか燃費で判断します。
これは性能を、コストで計測していることになる。
一方で、家づくりは、高気密高断熱や性能向上と言う割に、性能をコストで計測することが行われていません。
本当は、建てた時の性能が、後々の光熱費というランニングコストを決めているにも関わらず、目を向けられるのは初期費用の工事費ばかり。
そこに違和感を感じていたため、私は家づくりで断熱性能の違いによる費用対効果の検討に挑戦しました。

断熱リフォームの費用対効果を検証

断熱リフォームによる、費用対効果の結果がこちらの表です。
(条件:UA値は6地域、居住部分37.7坪、2人暮らし)

ローコスト
住宅レベル
工務店
平均レベル
断熱特化
工務店レベル
断熱性能次世代
省エネ基準
ZEHHeat20G2
UA値0.870.600.46
冬場の最低の
体感温度
8℃9〜10℃13℃
工事費75万円110万円185万円
工事費の差±0+35万円+110万円
年間光熱費17.6万円13.9万円12.5万円
年間光熱費の差±0-3.7万円-5.1万円
10年での差37.0万円51.0万円
15年での差55.5万円76.5万円
20年での差74.0万円102.0万円
25年での差92.5万円127.5万円

ローコスト住宅の性能を基準で、工事費(初期投資)と光熱費(ランニングコスト)の違いを比較してみます。
すると、工務店の平均レベルへ性能向上させた場合、10年で初期投資が回収できます。
性能特化工務店レベルに性能向上させた場合は、25年かからず初期投資が回収可能です。

家づくりをする際、住宅ローンをどれぐらいの期間で借りるでしょうか。
住宅金融支援機構が行っている「民間住宅ローンの貸出動向調査(2019年度)」によると、平均借入期間が26.7年、完済が15.7年となっています。

少なくとも住宅ローンを完済するまでは、その住まいで暮らしているはずです。
つまり、住宅ローンの借入期間や、完済期間のスパンで考えると、初期投資はランニングコストで十分回収可能であることがわかります。
注文住宅を建てて、15年や20年で引越しという状況は、特別な事情がない限りあまり耳にしません。
もし初期投資の資金が準備できれば、長く住めば住むほど、性能を高めた方がお得になります。

少なくとも私は、この住まいに20年以上は住むだろうなと考えてリノベーションをしたので、性能特化工務店レベルにまで性能を向上させました。
もちろん、性能が高い住まいは、温度差が少ないので快適。
工事費という目先の費用で考えず、実際に住む期間でコストを考えることで、お得で快適な暮らしが実現できます。
このようにシミュレーションを利用することで、より良い家づくりができるはず。
是非、光熱費シミュレーションを取り入れ、費用対効果を検証してみましょう。

ちなみに、今回のシミュレーションはリノベーション住宅を対象にしているため、新築とは結果が異なる場合があります。
一般的には、新築で性能特化工務店レベルにまで性能を向上させ、コストパフォーマンスが良くなるのは、30年以上暮らした場合です。
新築とリノベーション、また規模の違いで、投資回収効果が異なることにご注意を。

今回の記事からの学び

  • 高気密高断熱の中に、性能の違いがある
  • 断熱性能が高ければ、快適性が変わる
  • 断熱性能を高めれば、工事費(初期投資)は上がるが、光熱費(ランニングコスト)は下がる
  • 光熱費シミュレーションで、投資金額が何年で回収可能かわかる
  • 住宅ローンを返済する期間で考えると、高性能住宅はコスパが高い
  • 工事費(初期投資)だけで判断せず、暮らす期間でのコストで検討すると良い