- 夏は74%、冬は52%の熱が窓から出入りする
- 最初に断熱リフォームするなら窓が効果的
- 結露は住まいを傷めるだけでなく、肺炎や喘息を引き起こす可能性がある
- 窓の断熱リフォームは、3種類の工法がある
- 窓の取り換えは、高性能の窓が設置できるが、外壁リフォームを伴うので総工事費が割高
- カバー工法は、外壁リフォームは不要だが、窓1箇所あたりの単価が割高
- 内窓は、コストが安く、防犯性が向上するが、窓の開け閉めが手間になる
- 夏場の日射遮蔽は、簾や屋外ルーバーなど窓の外で行うと効果的
なぜ窓の断熱が効果的なのか
健康で、快適な暮らしをするために、住まいの断熱は必要不可欠です。
「寒さは万病のもと」と言われる通り、寒い住まいは深刻な健康リスクが高い。
また、近年は温暖化の影響なのか、夏の暑さが厳しくなっているように感じます。
年々、熱中症で搬送される方が増えている。
どれも日本の住まいが、断熱不足であることが原因です。
寒さ、暑さに対して、家全体を断熱リフォームするのが効果的です。
しかし、コストの問題に直面するでしょう。
そこで、まず一箇所断熱リフォームに取り組むとすれば、どこが効果的か考えてみます。
答えは「窓」です。
![熱の出入りの割合で断熱補強のポイントがわかる](https://i0.wp.com/renovation-life.com/wp-content/uploads/2020/02/index_sec01_fig01_pc.png?resize=915%2C280&ssl=1)
こちらの図(出典:YKK AP)は、住まいに関する熱の出入りを表しています。
図の通り、夏は74%、冬は52%の熱が窓から出入りしているのです。
床、壁、天井の断熱リフォームをするよりも、窓を強化した方が効果的であることが一目瞭然。
もしコストの問題に直面した時は、窓だけでも断熱リフォームすると効果が出るでしょう。
窓の結露はアレルギーの原因
断熱性能が低いと、冬場に窓が結露します。
子供の頃、結露した窓に、指で絵を描いて遊んだ思い出があるかもしれません。
しかし、窓の結露は望ましいものではありません。
住まいが傷み、行く行くは健康被害にまで発展します。
![](https://i1.wp.com/renovation-life.com/wp-content/uploads/2020/02/DSC3049-scaled.jpg?fit=1024%2C684&ssl=1)
住まいが傷む
窓回りの結露によって、木で作られた窓枠が常に湿ると腐食していきます。
そして、湿った窓枠に接している壁のクロスは、粘着力が弱くなり剥がれていく。
住まいの見映えが、とても悪くなります。
窓回りにカビが生える
見映えが悪くなることを気にしない方も、一定数いるはず。
しかし、腐食が進む木の内部や窓回りには、カビが繁殖し始めます。
窓の近くに吊ってあるカーテンにも、黒い斑点のようなカビが繁殖するでしょう。
カーテンに一度カビが生えると、洗濯できれいさっぱりとはいかないので注意が必要です。
カビとダニが繁殖し、肺炎や喘息を発症
カビが生える所には、ダニが繁殖し始めます。
なぜなら、ダニはカビをエサにしているからです。
ここまでくると、カビとダニが原因のアレルギー性肺炎や喘息のリスクが高まります。
そんな暮らしをしていると、毎シーズン体調不良になり、医療費がかさむ。
しかも、毎シーズン寒い。
このような住まいは、快適な住環境とは言えません。
窓の断熱リフォームの種類
窓の断熱不足、それに伴う結露の健康被害は、窓の断熱リフォームによって解消できます。
窓の断熱リフォームの方法は、主に3つあります。
窓(サッシ)の交換
1つ目の方法は、窓を解体して、新しいものに取り換えます。
他の方法よりも、確実に断熱性能が高い窓に交換できるのがメリット。
一方で、窓を交換するにあたって、外壁にも影響してきます。
そのため、必ず外壁のリフォーム費用が必要になってくるので、工事費全体が割高になるのがデメリット。
窓(サッシ)のカバー工法
2つ目は、既存の窓枠を残しながら、新しい窓を取り付ける方法です。
通称カバー工法と呼ばれています。
カバー工法であれば、外壁に影響してこないので、外壁リフォームは必要ありません。
しかし、窓単体で考えた時の工事費が割高です。
また、枠が大きなものになってしまうので、デザイン的には野暮ったくなってしまいます。
![サッシのカバー工法](https://i0.wp.com/renovation-life.com/wp-content/uploads/2020/02/pop_t_ph_02.jpg?resize=600%2C240&ssl=1)
内窓の設置
3つ目は、窓の内側にもう1つの窓を設ける方法です。
窓の内側の窓なので、通称内窓と呼ばれています。
我が家では、内窓を採用しました。
写真の通り、窓が二重になっています。
![](https://i2.wp.com/renovation-life.com/wp-content/uploads/2020/02/DSC_7120-scaled.jpg?fit=1024%2C689&ssl=1)
外壁の影響を受けず、窓1箇所あたりの工事費はカバー工法よりも安く、コストを抑えられるのがメリットです。
窓が二重になっているので、防犯性能が高くなります。
デメリットは、窓を開ける際に2回開けなければいけません。
しかし、窓ってそんなにも頻繁に開けますか?
春は花粉症、夏は猛暑で冷房生活、秋も花粉症、冬は暖房生活。
環境省の調査によれば、3人に1人が花粉症です。
我が家は、妻が花粉症。
そのため、ほとんどの期間で窓を開けません。
コストメリット、年間で窓を開ける機会の少なさから、我が家に最適な選択が内窓でした。
夏の日射遮蔽が断熱効果が抜群
断熱や結露といった冬場の話が中心になりましたが、夏場の日射熱の流入を防ぐことも大切です。
いかに窓からの直射日光を遮るかによって、夏の冷房の効きが変わっています。
熱エネルギーで言うと、畳2枚分の大きさの窓で、コタツ1台分と同じエネルギー量がある。
真夏にコタツを運転させるわけにいかないので、窓からの直射日光を遮らなければいけません。
日射遮蔽の有無、その遮蔽装置の位置で効果は変わります。
日射熱が100%とすると、
・窓のみで、対策無し:通過率80%
・窓に遮熱シートを貼る:通過率60%
・窓の内側にカーテンやブラインドを設置:通過率50%
・窓の外側にブラインドや簾(すだれ)を設置:通過率15%
![](https://i2.wp.com/renovation-life.com/wp-content/uploads/2020/02/DSC8355-scaled.jpg?fit=684%2C1024&ssl=1)
日射熱の通過量からわかる通り、写真のような古典的な簾(すだれ)のように窓の外で日射を遮ることが最も効果的です。
近年、朝顔やゴーヤによるグリーンカーテンで、窓の外で日射を遮る取り組みも目立ってきました。
夏場によく日が射す窓には、窓の外側で日射遮蔽の対策をしてみましょう。
今回の記事からの学び
- 夏は74%、冬は52%の熱が窓から出入りする
- 最初に断熱リフォームするなら窓が効果的
- 結露は住まいを傷めるだけでなく、肺炎や喘息を引き起こす可能性がある
- 窓の断熱リフォームは、3種類の工法がある
- 窓の取り換えは、高性能の窓が設置できるが、外壁リフォームを伴うので総工事費が割高
- カバー工法は、外壁リフォームは不要だが、窓1箇所あたりの単価が割高
- 内窓は、コストが安く、防犯性が向上するが、窓の開け閉めが手間になる
- 夏場の日射遮蔽は、簾や屋外ルーバーなど窓の外で行うと効果的
この記事を書いている私、鶴見哲也の自己紹介は、こちらの記事からご覧ください。
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